「月刊 国際グラフ 2004年4月号[ドクター訪問] のコーナー」に掲載されました。
野口英世の伝記に感銘して医師を志した少年は大学卒業時に医学部長賞を受賞。その後も救急医療や循環器部門で研鑽を重ねて博士号や内科認定医・専門医、循環器専門医の認定を受けるなど内科専門家の道を究めてきた秋山浩之医学博士。地元東大阪で開業という長年の念願が成就した秋山内科医院では日進月歩の医療に不可欠な先端医療機器を病院レベルに導入。一方で温かく明るい雰囲気にあふれており、地域の方が安心・信頼して通える存在としてその役割を増していくことは間違いない。
梅田
秋山先生は私と同じ昭和36年生まれと伺っています。まずは医学の道を目指されたきっかけからお聞かせください。
秋山
私が医師の道を志すことができたのは、兄のように慕う近所の方の存在があったからこそでした。と申しますのも私は小学校3年生まで宿題も一切したことがなく、成績もクラスで最下位を争うほどでしてね。また成績以上に厄介だったのが喧嘩に明け暮れる性格で、そんな私を心配した母が大阪大学工業部の大学院生だったその方にサッカーや野球など普通の遊びを教えてほしいと頼んだのがきっかけで面倒を見て頂くように。医師に憧れたのは母から渡された野口英世の伝記を読んで感動した時ですが、私は「医者になりたい」と口にしたものの成績が成績だけに両親も担任の先生も全く取り合ってくれません。しかしその方だけは私の夢に耳を傾け「お医者さんになりたいのなら勉強を教えてあげよう」と言って下さったのですよ。
梅田
人には人生を左右する出会いがありますが、幼き日のその方との出会いはまさにかけがえのないものだったわけですね。
秋山
ええ、人間的にも非常に優れた方で良い影響を与えて頂きました。その方には小学校4年から6年まで勉強を教えて頂き基礎からやり直すことができました。地元の中学校に入学しましたが、「勉強は自分自身でするもの」と教えられ、その後も塾などへ通うことはありませんでした。しかしその方に会うのが楽しみだったものですから週に1~2回は家へ来て頂き、勉強よりも食事やゲームなどをして楽しい時間を過ごすという生活を高校卒業まで続けさせてもらいました。
梅田
では大学でのお話をお聞きしてまいりたいのですが、先端医療でも定評がある近畿大学医学部に進まれたそうですね。
秋山
実家から歩いて行ける所に近畿大学の本校があり、加えて2年間の教養課程を本校で学ぶということが魅力でした。しかし医学部は1年生から大阪狭山市で勉強するということを知って多少がっかりもしましたが(笑)、楽しく実り多き6年間を過ごすことができましたし卒業後には医学部長賞を授与される栄誉にも恵まれました。
梅田
それは素晴らしい。各科の中から内科を専門にされた動機も教えてください。
秋山
内科は全身を診ることができる科であり常に人間の生命にかかわります。また医療の中で最も大切な診断・治療に真価を発揮できる科であるというところに惹かれまして、医師を本格的に志した頃から内科の分野を目指しました。大学院では内科学系内科学を修め、第一内科に入局後も内科臨床医として研鑽を重ねてきた次第です。
梅田
内科の認定医・専門医、更に循環器の専門医も取得されているのですね。
秋山
認定医及び専門医の2段階制を設けているのは恐らく内科のみだと思いますが、認定医は内科医として大学病院クラスで何年か勤務し、内科の全分野の重要な症例に関する小論文を提出して試験を受け合格すれば資格が与えられます。専門医はその後も大学病院クラスで臨床や研究に励み、学会発表なども行って同じようにあらゆる分野の症例を小論文にして提出し、再度内科全分野の試験を受けた上で合格すれば認定の運びとなります。日本の医療制度では内科以外の科を専門にされている先生も開業時に内科を標榜することができますが、私は内科を専門に修めてきたことで誇りを持って内科を標榜できると自負しています。
梅田
患者サイドにとっても大きな目安となりますよね。内科の中でも特に循環器がご専門になるのですね。
秋山
ええ、中でも私は心臓を専門としており博士論文も「急性心筋梗塞における責任冠動脈自然開通例の臨床的特徴」をテーマに掲げました。大学病院では第一内科と救命センターに所属し派遣先の宝生会PL病院でも循環器の救急に従事。非常勤で半年間勤務していた泉大津市立病院では院長から直々に「循環器部門のテコ入れに心臓カテーテル検査を取り入れるので常勤になってほしい」とのご依頼を頂き、また大学病院の後押しもあって承諾。その後は循環器部門の充実と共に心臓カテーテル検査や永久ペースメーカー移植手術などが軌道に乗ったため、以前より目標として温めていた地元である東大阪での開業を実現に移すべく平成14年末に泉大津市立病院を退職しました。
梅田
泉大津市民の私は市立病院に何度もかかったことがあり改めてご縁を感じますが、勤務医生活は通算何年におなりで。
秋山
16年です。振り返ってみますとこの歳月は自分の理想とする医療を実践できるだけの知識・技術、そして人間性を身につけるための修行期間と言える充実した日々だったと思います。
梅田
では、開業されてからのお話を伺いたいのですが、ご開院はいつですか。
秋山
平成15年6月2日です。
梅田
理想とする医療を実践できる環境が整ったわけですが、医療の特徴や先生が大切にされているモットーをご紹介ください。
秋山
ひと言で申しますと"診療所ならではの温かみと病院レベルの高度な医療の両立"ということで、診療の基本はあくまでも患者さんとの対話と詳細な診察です。しかし医学はまさに日進月歩の世界ですので、笑顔を絶やさず患者さんのお話を伺うのも大切なことではありますが、それだけでは病気は良くなりません。病気を良くするためにはやはり様々な機器を含めた高度な医療が必要不可欠になってきます。そうしたことを考慮し当院では病気に負けないほどの設備を整え、より高度な医療を行うことができるよう頑張っています。
梅田
例えばどういう機器を導入されているのでしょう。
秋山
心臓・腹部・表在エコーを始めとして院内迅速血液生化学検査装置、デジタルレントゲン装置、自転車エルゴメーター運動負荷心電図、24時間ホルター心電図(即日院内解析)、血圧脈波測定装置(動脈硬化測定装置)、呼吸機能検査装置、各種理学療法機器などを揃えました。病院はどうしても待ち時間が長いという欠点がありますが、待ち時間の短い診療所で病院レベルの高度な医療を提供することで地域の皆様に喜んで頂きたいですね。
梅田
大勢の患者さんが集まる病院はどうしても事務的な対応になりがちですが、こちらはそうした高度医療を提供する一方で地域に根差した診療所ならではの温かみやコミュニケーションも持ち味として前面に出していこうと。では患者さんに接する上で心掛けておられることもそのあたりになるのでしょうね。
秋山
はい。高度な医療を提供させて頂くことだけに注力していますと、冷たい雰囲気を感じ取って患者さんが敬遠されるという懸念もありますから、"診療所ならではの温かみ"と両立させることを診療方針として念頭に置き、また診療姿勢としても"誠実な対応と充実な説明"を大切にしています。医療を行う上で最も必要なものは何だろうかとよく考えるのですが、正確な知識と経験が絶対不可欠であることは間違いありません。しかしこれだけでは不十分なことも事実で医師にどれほど豊富な知識や経験があっても、患者さんご自身が病気の状態を理解し納得された上で治療に協力して頂かない限り病気は快方に向かいません。そのためには患者さんの信頼を得ることが何より重要になってくるわけです。
梅田
信頼関係があってこそ、患者サイドもお医者さんのアドバイスに率直な気持ちで耳を傾けられますものね。
秋山
おっしゃる通りです。例えばどれほど有効な薬があったとしても、それを飲んでもらえなければ治療が進まないわけです。そこで鍵になるのが信頼関係でして、私を信頼して下されば薬も服用して頂けますしアドバイスに沿って生活習慣も改めてくださいます。そうした信頼関係を築くために患者さん一人一人と誠実に向き合い、充分なご説明をすることで納得して頂くよう常に努めています。これからもより多くの患者さんとこうした信頼関係を結んでいくことを目標に頑張ってまいりたいですね。
梅田
お話は医療から離れますが、先生のご趣味、ストレス解消法といいますと。
秋山
ストレス解消法は1歳の息子と遊ぶことで、趣味は家族とスーパー銭湯巡りをしたり食べ歩きを楽しむことですね。最近は天然温泉が湧いているスーパー銭湯もありますので、そういうところを探して温泉気分を楽しんでいます。これは余談ですが、温泉好きが高じた私は「日本温泉気候物理医学会」に所属しており、近々「温泉療法医」の資格を取得することが決まっています。
梅田
温泉の効能は広く知られており、高齢化が進む今後は健康維持のためにもますます注目されてきていますからね。最後に将来に向けての抱負や夢をお聞かせください。
秋山
夢はやはり自分が理想として描く医院像に近付けていくことですね。"診療所ならではの温かみと病院レベルの高度な医療の両立"をモットーに地域に根差し、多くの患者さんと仲良くなって安心して通って頂ける医院にしていきたいと希望しています。
梅田
先生の温かいお人柄から理想が現実になる日はそう遠くないでしょう。地元の皆さんから親しまれ信頼される医院として末永くご活躍ください。
日本内科学会認定総合内科専門医の資格を持ち、内科のあらゆる分野を専門的に診療します。その中でも心臓病・高血圧症・高脂血症などの循環器疾患においては特に研鑽を積み、日本循環器学会認定循環器専門医の資格も取得しています。開業してからはプライマリーケアに携わる医師として、患者様の全身を診療し健康を管理することに力を注いでいます。
■循環器疾患: | 高血圧・高脂血症・虚血性心疾患(心筋梗塞・狭心症) |
・不整脈・心臓弁膜症・心不全・永久ペースメーカー管理 | |
・脳血管疾患(脳出血・脳梗塞・一過性脳虚血発作)など | |
■呼吸器疾患: | 肺気腫・在宅酸素療法・気管支喘息・肺炎・アレルギー性鼻炎(花粉症) |
・感冒・睡眠時無呼吸症候群など | |
■消化器疾患: | 胃炎・胃潰瘍・十二指腸潰瘍・ピロリ菌感染症 |
・胃腸炎・大腸ポリープ・肝臓病(B型・C型・アルコール性など) | |
・胆嚢ポリープ・胆石症・慢性膵炎など | |
■その他の内科疾患: | 糖尿病・高尿酸血症・貧血・甲状腺疾患・慢性腎不全・片頭痛など |
その他あらゆる内科疾患 | |
■リハビリテーション疾患: | 骨粗鬆症・腰痛症・神経痛など |